ドクターインタビュー
ドクターインタビュー
急性期医療に取り組む循環器内科専門医から、大人から子どもまで全人的に診る家庭医へ。
患者さんの「価値観」に伴走する「ファミリークリニック」
みなかわファミリークリニック
院長 南川 翔 先生
開業医のお父様を見てきて、南川先生が医師になることはある程度既定路線だったのでしょうか。
長男という立場もあり、周囲にはそのように受け止められていたかもしれません。ただ、子どもの頃は医療への関心はそれほど高くありませんでした。高校時代に進路を考えるなかで、自分の将来と真剣に向き合い、医師を志すことを決めました。
臨床研修を経て進路を決めるにあたり、循環器内科に進まれた理由をお聞かせください。
研修医時代、心筋梗塞をはじめとする生命に直結する疾患の診療に携わり、適切な治療によって患者さんの状態が劇的に改善する場面を数多く経験しました。そのダイナミズムに大きなやりがいを感じるとともに、CAGやPCIなどのカテーテル検査・治療といった高度な手技を習得し、専門性を高めたいと考え、循環器内科を選択しました。
大学と関連病院で急性期医療に取り組んでこられたなかで、開業医志向のようなものはあったのでしょうか。
大学医局に所属していた当初は、開業を考えたことはありませんでした。しかし約10年間急性期医療に携わるなかで、患者さんの再発を数多く経験し、考え方が変わりました。大学病院では急性期治療が中心であり、その後の長期的なフォローに関わる機会は限られます。再発を防ぎ、患者さんの健康を長く支えるには、急性期医療だけでは十分ではありません。治療後の生活まで継続して支える医療を実践したいという思いが、開業を志す大きな契機となりました。
その後、2019年に関西家庭医療学センターへ転籍されています。同センターでは、複数の医療機関が連携し、家庭医・総合診療医の育成プログラムを実施されています。
私が入職した当時は関西圏の3施設でプログラムが運営されていました。開業を見据えたとき、循環器内科の専門知識だけでは地域医療は担えません。内科全般はもちろん、小児診療にも対応できる幅広い臨床力に加え、患者さんや家族との関わり方を学ぶ必要があると考えていました。その点で、同センターが実践する家庭医療の理念は、自分の目指す医師像と非常に合致していました。
教育プログラムは充実していましたか。
総合診療を基盤としたプログラムで、初年度は滋賀県長浜市の診療所へ単身赴任し、地域医療を経験しました。その後、大阪赤十字病院で研修を続けていた際に父が体調を崩したため、実家の内科クリニックを手伝うことになりました。
標榜科目は、内科、循環器内科、小児科、訪問診療ですが、クリニック名の「ファミリークリニック」についての考え方をお聞かせください。
子どもから高齢者まで、世代を問わず家族全員が安心して受診できる地域のかかりつけ医でありたいという思いを込めています。訪問診療では、通院が困難になった方への日常的な診療に加え、終末期医療や看取りまで対応しています。患者さんの人生に長く寄り添い、外来から在宅まで切れ目のない医療を提供することが、私たちの目指す地域医療です。
小児科の受診が思いのほか多いようですね。
この地域は高齢者が多い住宅地ですが、徒歩圏内では大型の新築マンションの建設が相次ぎ、現在も大型マンションの開発が進んでいます。子育て世帯が着実に増えており、その地域特性が受診動向にも表れていると感じています。
ホームページに掲げられている「続けやすい医療」という言葉が印象的です。慢性疾患では自己判断による通院中断も少なくありませんが、治療継続のために大切にされていることは何でしょうか。
最も大切なのは、患者さん一人ひとりが何を大切にしているのか、その価値観を理解することです。例えば服薬に対する考え方もさまざまで、薬を増やしてでも数値を改善したい方もいれば、できるだけ薬に頼りたくない方もいます。患者さん自身が納得して治療法を選択できるよう、医師は十分な情報と選択肢を提示する責任があります。また、高血圧や糖尿病などの慢性疾患では、合併症を防ぎ、病状を悪化させないために治療を継続する意義を初診時から丁寧に説明し、定期的に検査結果を確認しています。単に薬を処方するだけでは、患者さんは治療の必要性を実感できず、通院中断につながりかねません。
地域に根差した「ファミリークリニック」の機能としては、予防と再発防止が望まれます。その啓蒙も含めて実践されていることをお聞かせください。
小児では予防接種が重要な役割を担います。当院では看護師だけでなく受付スタッフも含め、全員が予防接種に関する知識を学び、患者さんへ適切に説明できる体制を整えています。
スタッフというと、看護師だけでなく受付事務の方も含めた取り組みなのですね。
はい。例えば風邪で受診したお子さんが未接種であれば、「今日であれば接種できます」と、その場でご案内できるようにしています。定期的な勉強会も実施していますが、私が一方的に教えるのではなく、看護師が中心となって課題を共有し、スタッフが主体的に学べる環境づくりを大切にしています。
先生の目指す「ファミリークリニック」を実現するうえで、スタッフにどのようなスキルを期待し、どのような視点で採用されたのでしょうか。
最も重視したのは対人スキルです。内科や小児科の経験者はほとんどいませんでしたが、知識や技術は教育によって身につけられます。それ以上に、患者さんに誠実に向き合える姿勢や人柄を重視しました。日々のフィードバックを通じて、スタッフ全員が成長できる環境づくりを心掛けています。
先生の循環器の専門性は現在の診療でも強みとして発揮されていますか。
医療機能上、クリニックではカテーテル治療そのものを行うことはありません。しかし、循環器専門医としての知識は、心不全管理に大きく生かされています。聴診で心雑音を捉え、症状が現れる前に心不全リスクを評価し、早期介入につなげるケースも少なくありません。こうした早期発見・早期介入は、地域医療だからこそ発揮できる専門性だと考えています。
訪問診療の実施は、開業するうえでの前提としてお考えだったのですか。
はい。家庭医療プログラムに参加した理由の一つが訪問診療を学ぶことでした。高齢化により通院が難しくなっても、かかりつけ医が自宅へ伺い、継続して診療を行うことは家庭医の重要な役割です。外来から在宅まで切れ目なく支える医療を実践したいと考えていました。
自院の患者さんだけでなく、病院など他の医療機関の紹介患者さんの往診を受け入れるとなると、密な地域連携が大切になりますね。
前職で担当していた訪問診療を引き継いだこともあり、訪問看護ステーションなど地域の連携体制は整っています。現在は約15名の患者さんを診療していますが、病院からの紹介も多く、地域連携の重要性を日々実感しています。
地域の皆様に向けての、先生からのメッセージをお願いいたします。
日常のちょっとした不調時の最初の相談先が家庭医です。「こんな症状の場合に、どの診療科に行けばいいのだろう?」という場合もぜひお越しいただけたらと思っています。当院で解決できないときでも、責任を持って適切な医療機関を紹介いたします。まずは「みなかわファミリークリニック」に行けば安心という医療機関を目指しています。
診療科 内科・循環器内科・小児科・訪問診療
〒664-0861 兵庫県伊丹市稲野3-3 稲野駅前やのビル1F
TEL 072-779-6011
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